寡婦控除の見直しで「家族」を考える
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
「寡婦」という聞き慣れない言葉があります。
夫と死別、離婚して再婚しないでいる女性のことです。
所得税には「寡婦控除」という制度がありますが、結婚歴がないシングルマザーは、結婚歴がある方より税金の負担が重くなるのが問題になっています。
厚生労働省は来年度の税制改正で見直しをめざす方針とか・・・。
寡婦控除は、一定の条件を満たす場合に所得税などが軽くなります。
今、何が問題になっているかというと、戸籍上の婚姻関係の有無で寡婦控除の適否が判断されるという点です。
寡婦控除の要件として「民法上の婚姻関係」があったことが必要になるため、婚姻歴のない方は寡婦控除を受けられません。
ふたつの母子家庭があって、同じ家族構成、同じ職場、同じ給料(年収)でも婚姻歴の有無で税金に差が出てしまうのです。
これはおかしくないか?というのが今回の見直しの考え方です。
実は、昔からこの点は分かっていたのです。
私が所得税の勉強を始めた当時(昭和)は民法上の婚姻関係が重視される時代でして、
「ちゃんと結婚という制度があるのに、それを使わない人に税制上の特典を与える必要はない」
という理屈がまかり通っていた時代でありました。
しかし、時代とともに考え方も変わります。
平成も終わろうとしている21世紀において、この考え方はちょっと・・・
ということで見直しの時期に来たのではないかと思います。
こうやって、どんどん時代とともに法律も変わっていきます。
あと数十年したら「相続人」の考え方も変わってくるかもしれませんね。
民法上の婚姻関係にない事実婚であっても相続人になれる権利を有するようになるかもしれません。
「家族」って何?と考える今日このごろです。