【電子帳簿保存法】データ保存義務が2年間猶予

2022年1月から、「電子帳簿保存法(電帳法)」が改正されます。
電子取引における電子データ保存の義務化が予定されていましたが、2年の猶予期間を設けることにより、当面は紙での保存も容認されることになりました。
この電子データ保存についてはタイムスタンプ付与又はデータの取扱いに関する事務処理規定を定めるなど、少々面倒くさい処理が必要でしたので、不安を抱えていた方も多いと思います。
猶予期間を設けたということは、なかなか評判がよろしくなかった・・・ということなのでしょうか。
なぜ、電子データに限ってこんな面倒くさい事を要求するかというと「電子データを信用してない」からだと思います。
電子データは改ざんが簡単で紙より信憑性が低い。だから保存の要件を厳しくして不正しにくいようにするのだ・・・こういう考え方ですね。
紙の書類は押印されることで、ある程度の真実性を確保していました。
しかし、電子データは何もないので真実かどうかがアヤシイ。
この問題をどう解決するのか?
・領収書等を発行する側が電子証明書(タイムスタンプ)を付与する。
これはコストがかかりすぎますね。
・ブロックチェーン技術を利用して領収書等をNFT化する。
こちらは低コストでできそうですが、NFT化するプラットフォームが必要ですね。誰か作ってくれないかな?
ゆうちょ銀行が税務署からの預貯金等照会オンライン化

税務調査において銀行に預金照会をすることがあるのですが、今までは紙ベースで行われていました。
これがオンライン化されます。
NTTデータが提供する預貯金等照会業務のデジタル化サービス(pipitLINQ)を利用して、税務署からのオンライン預貯金等照会を受け付けるそうです。
預貯金等照会業務のオンライン化は、ゆうちょ銀行だけでなく他の銀行にも導入されていく流れのようで、税務調査の効率化が期待されています。
預金照会で問題になるのは、住所氏名(所在地・名称)です。
住所の数字は半角か全角か
「1丁目2番3号」と「1-2-3」は同一とみなしていいのか?
住所の「字(あざ)」を省略していいのか?
氏名に旧漢字があった場合どうするか?
銀行側に登録されている情報と一致しない場合には「該当なし」という結果になる可能性もあります。税務署もこういった問題はよく理解していて照会の際には「同一と思われるものは出してね」とお願いしているのです。
今後、あらゆるものがオンライン化されて税務調査のテクニックもどんどん変わっていくことでしょう。
でも、一番怖いのは調査官の「直感」なのです。
タイムスタンプをテストしてみた (2)
まず、AdobeAcrobat2017をインストールします。
次にタイムスタンプ生成・検証ツールのe-timing EVIDENCE 3161for Acrobatをインストールします。
特に難しいことはなく、画面の指示に従っていけばインストールできました。
▼タイムスタンプ生成・検証ツールをインストールすると、AdobeAcrobat内にアドオンが追加されました。
▼PDFを開いてメニューの「ツール」から「e-timing EVIDENCE」を選択すると、PDFの上部にタイムスタンプのメニューが表示されるので「タイムスタンプ生成」をクリックします。
▼スタンプが仮表示されるので「押印」する場所に移動させてEnter。
▼タイムスタンプが生成された旨のメッセージが出るので「OK」をクリック
以上でタイムスタンプ付与は終了です。
インストールしてしまえば、PDFにタイムスタンプを付与する作業は簡単です。
ただし、PDFデータが大量にある場合は1件づつ開いて付与するので時間がかかりますね。一括でたくさんのデータにタイムスタンプを付与できるツールもあるみたいです。
電子帳簿保存法のスキャナ保存制度においてもタイムスタンプは重要なツールとなります。機会があれば試してみてください。
タイムスタンプをテストしてみた (1)

電子帳簿保存法が改正され、2022年1月1日からいろいろ変わります。
その中でも私が注目しているのが「電子取引関係」です。
請求書や領収書をPDFデータでやりとりしている事業者は多いと思います。
その際、PDFをプリントして保存していると思うのですが、改正後はデータのまま保存することになります。
それじゃ、PC内に保存しておけばいい・・・という単純なものではなくて一定の要件を満たさなくてはなりません。
タイムスタンプを付与するか、事務処理規定に基づくデータ管理が必要になります。
タイムスタンプとは、ある日時にそのデータが存在していたこと、それ以降改竄されていないことを証明する技術です。PDFデータにタイムスタンプを付与することで改竄されていないデータであることを証明できるわけです。
では、どうやってタイムスタンプを付与するのか?
私が試した方法は、AdobeのAcrobatにタイムスタンプのアドオンをインストールしておき、PDFファイルを開いてタイムスタンプを「押印」する方法です。
準備するもの
アマノセキュアジャパン タイムスタンプ生成・検証ツール「e-timing EVIDENCE 3161for Acrobat」
タイムスタンプ生成ツールの仕様上、Acrobatは最新バージョンではなくて旧バージョンをインストールします。
また、Acrobatは最初の起動時にAdobeのアカウントを求められるので予め取得しておく必要があります。
・・・続く・・・
申告書等閲覧サービスで写真撮影OKに!
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
税務署で申告書等を閲覧するときに写真撮影できるようになりました。
申告書等閲覧サービスとは、税務署に提出した申告書等を閲覧できるサービスのことです。
申告書作成にあたって、以前に提出した申告書を参考にしたいのだけど紛失してしまった場合、税務署に行って見せてもらうことができるサービスです。
今までは、写真はもちろんコピーもダメで書き写すしかなかったわけです。
閲覧したらコピーが欲しいところですが、特定の納税者のために無料でコピーをサービスすることはできないようです。
それじゃぁ、スマホで写真に撮ろう!と考えますが、それもダメでした。
しかし、今回の改正で閲覧時に写真撮影がOKとなったわけです。
閲覧中は税務署の当者等が立ち会います。
写真撮影は、デジタルカメラ、スマートフォンなど、その場で写真が確認できる機器に限って認められます。(動画はNG)
しかし、気になる点もあります。
収受日付印のある書類については、収受日付印、氏名、住所等を隠した上で撮影・・・ということです。
ということは?
申告書は住所氏名を隠した状態で撮影が許可されるということですね。
そうなると、使い道も限定されてしまいます。
名前が隠される訳ですから、銀行に提出するとか何かの証明に使うことは厳しいです。
あくまでも「閲覧」であって、証明書代わりに使われては困りますよ、ということなのかもしれません。
税理士がこのサービスを使うのは「相続時精算課税制度」を使った贈与税の申告書が多いと思います。
相続税の申告書を提出した後に慌てて閲覧するというパターンは避けたいです。