法人設立の税務手続きを2019年度から一括化
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
総務省は、法人設立届出書のような起業時に必要な税務手続きを簡素化する方針を固めたそうです。
現在は税務署、県税事務所、市町村のそれぞれに設立届を提出する必要がありますが、電子システムで一括して済ませることができるようにするとのこと。
2019年9月ごろに予定されているeLTAXの改修に合わせ、新システムを構築することで対応するそうです。
e-TaxとeLTAXが融合してくるのでしょうか?
開発も運営もまったく別の組織なので、融合となると企業合併のようなイメージです。仕組みやルールのすり合わせが大変そうです。
そして「電子システムで一括して済ませる」とあるので、紙で提出する場合は今まで通り国、県、市町村へ別々に提出することになるのでしょうね。
税理士事務所も本気でペーパーレスに取り組まなければならない時期が近づいているようです。
【アパート経営】不動産所得の赤字を損益通算できない場合もある
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
不動産所得の損益通算
アパート建築がブームのようで、沖縄県もあちこちに新しいアパートが建てられています。
アパートのオーナーになると、家賃収入があるので「不動産所得」が発生します。
不動産所得が赤字になると、他の所得(給与所得や事業所得)と損益通算できるので、これが節税になるというのが宣伝文句になっていますね。
ところが、ここで注意しないといけないことがあります。
不動産所得が赤字の場合
支払利息は原則として全額必要経費になります。
ただし、これは不動産所得が黒字の場合であって、赤字になると支払利息が必要経費にならない場合があります。
赤字のうち、土地等を取得するために要した借入金利子に対応する金額は損益通算できません。
したがって、不動産所得が赤字の場合には、土地等の負債利子がいくらになるのか計算を行い損益通算できない金額を求める必要があります。
▼計算式
「その年分の建物等と土地等を取得するために要した負債利子の額」×「土地等を取得するために要した負債の額/建物等と土地等を取得するために要した負債の額の合計額」
まとめ
不動産所得は、
- まず黒字であるか赤字であるか所得金額を計算
- 黒字であれば支払利息の計算は必要なし
- 赤字であれば、上の計算式で求めた金額を赤字額から差し引く
という段取りになります。
例
土地等の取得に係る借入金の利子が50万円・・・(1)
不動産所得の収入金額が400万円
不動産所得の必要経費が430万円
不動産所得=400万円−430万円=▲30万円・・・(2)
(1)が(2)を超えるため、不動産所得は▲30万円 → 0円となり他の所得と損益通算できなくなります。
売掛金の回収できてますか?
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
売掛金には時効がある
売掛金の回収はきちんとできてますか?
売掛金には時効があります。
- 建築工事などの請負代金・・・ 3年
- 製造業、卸売り業、小売業の売掛代金・・・ 2年
- 運送料、ホテル等の宿泊代、飲食代・・・ 1年
この年数を過ぎて「時効だから払わないよ〜」と言われたらおしまいです。
そうならないためにも時効を中断させる対策をとっておきましょう。
- 売掛先から債務の確認書をもらう
- 売掛金の一部を払ってもらう
売掛金回収不能の税務
- 法律上の貸倒
法的手続きにより、「債権の全部又は一部が切り捨てられた場合」 - 事実上の貸倒
債権の全額が債務者の資産状況、支払能力等からみて経済的に無価値となり回収不能となった場合 - 形式上の貸倒
債務者との取引を停止して1年以上経過した場合
ざっくりとこんな感じです。
貸倒損失を計上すると税務署が来る
実際に「貸倒損失」として処理すると税務署から厳しく調査されることも多いです。
その際には「債権回収のためにどんな努力をしたか?」を問われますので、売掛金の催促する時には記録をとっておきましょう。そして、売掛先がどのような状態なのか?をしっかり調べて記録しておくことも重要です。
売掛金の催促は嫌な仕事なので、担当者が放置する場合もあります。
時効にならないように、そして回収不能になる前にしっかり回収しましょう。
VALUでVAを売った場合の税金はどうなる?
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
VALUとは
最近、VALUというのが話題になっています。
簡単に言うと、個人を株式会社に見立てて「上場」して資金調達をすることができる証券取引所のようなものです。
けっこう活発に取引されていて、1,000万円くらい調達した人もいるようです。
通貨は円ではなくてビットコインというのが今風です。
投資家が上場された「個人株」を買うのもビットコインで、自分を上場して資金調達した人もビットコインで利益を得る仕組みになっているようです。
このVALUの税金について、ざっくりと考えてみたいと思います。
投資家の税金
投資家は円でビットコインを買って、さらにVALU上での株式にあたる上場した個人の「VA」を買います。
(ビットコイン相場とVA相場の影響を受ける)
この辺は証券会社で株式を買うのに似てます。
例えば円でドルを買って、アメリカの証券会社でアメリカ法人の株を買うようなイメージかな。
(為替相場と株式相場の影響を受ける)
ということで、VALUで誰かのVAを買って、そのVAの相場が上下しても課税関係は発生しないと考えられます。(評価益には課税されない)
次に、そのVAを売却した場合ですが、値上がり益があれば所得税が課税されると考えられます。
総合の譲渡所得になりそうですが雑所得でもいいんじゃね?という説もあります。
上場した個人の税金
VALU上で、ある個人が自分自身の「株式公開」してVAを売ったとします。
VAが売れたということは「利益を得た」ことになるので何らかの課税が発生すると思いますが、所得税説や贈与税説があるようです。
所得税説の場合は、総合譲渡になるのか?雑所得になるのか?
贈与税説だと、「あげます」「もらいます」という贈与契約をどう考えるか?
また、いつの時点を捉えて課税するか?という問題もあります。
VAを売った時か?(ビットコインを円換算)
ビットコインを円に交換した時か?
まとめ
VALUという新しい「証券取引所のようなもの」が開設され、実際に利益を得た人が存在する段階になって、「税金はどうなるの?」という議論が沸き起こってきました。
税目と課税時期、さらに所得税の場合は所得区分(譲渡所得とか雑所得とか・・・)の問題もありますが、まだ結論が出ていない状況です。
国税庁が何らかの見解を出してくれるとありがたいのですが・・・。
法人税を納付したら租税公課?
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
法人の決算と申告だけを依頼されることもあります。
記帳は会計ソフトの力を借りて自社で行っているけど、申告書だけは作れないということでの依頼です。
そういう場合、仕訳が間違っていることも少なくありません。
典型的な間違いは法人税を納付して租税公課で処理している、というものです。
税金を払ったらすべて租税公課・・・ではありません。
法人税は原則として決算日の2カ月以内に申告するので、前期の法人税の納付は今期ということになります。
で、前期の決算書で「未払法人税等」として計上されている税金を今期に払うので
未払法人税等/現金預金
このような仕訳になります。
典型的な間違い仕訳は、
租税公課/現金預金
としているため、前期の法人税が未払いで残ったままの決算書を持ってくる方が多いのです。
会計ソフトの中には「簿記の知識は不要」と宣伝しているところもありますが、決してそうではありません。
そのうち、この程度の仕訳はAIがやってくれる時代がくるのでしょうが、今のところは人間が安易にやって間違います。