【令和】皇位継承と贈与税
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
平成が終わり、令和となりました。
天皇の「引き継ぎ」に関する法律として「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」というのがあります。
この法律により、退位に関するいろいろな事を定めていますが、税務的には「贈与税」が絡んできますね。
いわゆる「三種の神器」なども引き継ぎされるわけですが、贈与税はどうなるか?という事を定めています。
結論から申し上げると「贈与税を課さない」こととされています。
▼関係法令はこんな感じかな?(カッコ書きは省略してます)
皇室経済法
第七条 皇位とともに伝わるべき由緒ある物は、皇位とともに、皇嗣が、これを受ける。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法
第二条 天皇は、この法律の施行の日限り、退位し、皇嗣が、直ちに即位する。
第七条 第二条の規定により皇位の継承があった場合において皇室経済法第七条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物については、贈与税を課さない。
2 前項の規定により贈与税を課さないこととされた物については、相続税法第十九条第一項の規定は、適用しない。
相続税法
第十二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
一 皇室経済法第七条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物
第十九条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前三年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第十五条から前条までの規定を適用して算出した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。
▼分かりやすく説明すると、こうなります。
1.天皇の地位と「御由緒物」は皇太子が受けるよ。
2.天皇は退位して皇太子が即位するよ。
3.天皇の地位と一緒に受けた「御由緒物」には贈与税は課さないよ。
4.相続開始3年以内の贈与加算も適用しないよ。
しっかりと相続税法第19条1項まで考慮されていますね。
ここで気になるのが「御由緒物」とは何か?ということですが、昭和天皇が逝去された際には三種の神器のほか、約600件が「御由緒物」ということで非課税にされたそうです。
今回の皇位継承でも同じ扱いになるのでしょうね。
この御由緒物ですが、明細までは細かく規定されておらず、ぼんやりとしています。
一般向けの法律でこんなにぼんやり規定すると、理由を付けてあれもこれも非課税!となりそうなところですが「そこは無茶なことはしない」ということなのでしょう。
ということで「令和」が始まりました。
平成生まれが新卒としてやってきた時には衝撃を受けましたが、令和生まれが社会人になる頃・・・私はまだ現役で頑張ってるのでしょうか?