2017年1月から適用される加算税制度の見直し
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
加算税とは
加算税とは、いわゆるペナルティのようなもので、次のような場合に本税とは別に課税されます。
過少申告加算税
期限内に提出された申告書の金額が過少で修正申告又は更正があった場合。(原則10%)
無申告加算税
申告期限までに申告書を提出せず、期限後申告又は決定があった場合など。(原則15%)
不納付加算税
源泉所得税などを納期限までに納付せず、期限後に納付又は納税の告知をする場合。(10%)
重加算税
事実を隠ぺい又は仮装し、それに基づき過少申告、無申告、不納付となった場合。(過少申告・不納付35%、無申告40%)
平成29年(2017年)から加算税の割合が変わる
加算税制度について、次のような変更があります。2017年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。
(1) 加算税の賦課割合の変更
(2) 加算税の過重措置の創設
加算税の賦課割合の変更
過少申告加算税
調査通知以後かつ更正予知前にされた、修正申告に基づく過少申告加算税
改正前・・・不適用
改正後・・・原則5%
無申告加算税
調査通知以後かつ更正予知前にされた、期限後申告又は修正申告に基づく無申告加算税
改正前・・・5%
改正後・・・原則10%
加算税の過重措置の創設
期限後申告や修正申告(更正予知によるものに限る)、更正、決定等があった場合
・・・期限後申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(更正予知によるものに限る)又は重加算税を課されたことがあるとき(以下「一定の場合」という)は、その期限後申告等に基づき課する両税の課税割合にそれぞれ10%加重する制度が創設された・・・となっています。ややこしいですね。
具体的には、次のようになります。
期限後申告等に基づき課される無申告加算税(一定の場合に限る)
改正前・・・原則15%
改正後は・・・原則25%
期限後申告等に基づき課される重加算税(一定の場合に限る)
改正前・・・35%、40%
改正後・・・45%、50%
この過重措置は、地方税の加算金制度における不申告加算税及び重加算金についても、同様の見直しが行われているため、ペナルティの金額はさらに大きくなります。
見直しの背景
以前から問題になっていたことですが、調査予告をした途端に修正申告を提出する事例がありました。
善意に解釈すれば、大急ぎで見直ししたところ間違いを発見して調査着手前に修正申告した・・・となりますが、なんだかズルくないか?調査がなければ放置されていたのか?という指摘もありました。
そこで、今回の改正で調査予告がされた後の修正申告(期限後申告)にもペナルティを課すことになったようです。
また、何度も「仮装隠蔽」で税金をごまかす困った納税者が少なくなかったため、悪質な行為を防止する観点から加算税の過重措置が創設された、ということです。
加算税制度もどんどん厳しくなっていきますね。
加算税は、もともと納付しなくていいはずの税金なので、きちんと期限内申告しておくことが一番です。