沖縄弁護士会が寡婦控除の改正を提言
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
沖縄弁護士会が、寡婦(寡夫)控除を非婚の母(非婚の父)にも適用するよう求める会長声明を発表しました。
寡婦控除って何?
所得税法81条1項には「居住者が寡婦又は寡夫である場合には、その者のその年分の総所得金額・・・から27万円を控除する。」と定められています。これが「寡婦(寡夫)控除」です。所得控除のひとつで税額を軽減する効果があります。
寡婦控除の何が問題?
「寡婦」という聞きなれない言葉が出てきますが、寡婦とは「夫と死別し若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない者」ということで、法律上での結婚を経ていることが要件とされています。
そうすると、婚姻歴のない、いわゆる非婚の母(非婚の父)には寡婦控除が適用されず、所得税が高くなってしまうのです。
その他にも住民税や国民健康保険、認可保育園の保育料などで不利益を被ってしまうわけですね。
沖縄弁護士会は、経済的に弱い立場にある非婚母子と法律婚を経た母子とを区別する合理的理由がなく、憲法14条が定める平等原則に反するものだと訴えています。
非嫡出子の相続分に関する最高裁判決
ここで思い出されるのが、非嫡出子の法定相続分に関する最高裁判決です。
最高裁判所大法廷は平成25年9月4日、非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする民法の規定を違憲であると決定しました。
これを受けて平成25年12月5日に民法が改正され、嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました。
税制改正で議論してほしい
こういった流れから考えると、法律上の結婚という制度が重要だった昭和前半に作られた法律が時代に合わなくなってきているように感じます。非嫡出子の法定相続分と同じような裁判になった場合、どのような判断になるでしょうか?
今のところ、税制改正の話題は配偶者控除でして、寡婦控除は「検討事項」という位置付けになっており具体的な議論になっていません。配偶者控除の問題が決着したら寡婦控除の改正も議論してほしいですね。