節税目的の養子は有効か?・・・12月に最高裁判決
沖縄県那覇市の税理士、渡嘉敷です。
相続税対策で被相続人が生前に行った孫との養子縁組は無効だとして、別の相続人が孫を訴えた裁判が行われています。
高裁では、この養子縁組は無効とされましたが、最高裁で有効とする初判断を示す可能性がある、ということで注目されています。
相続税と養子
相続税の基礎控除額は、
3000万円+(法定相続人の数 ☓ 600万円)
で算出されるわけですが、実の子どもがいても養子は1人まで法定相続人に含められることになっています。
この制度を利用した養子縁組を節税の手段として採用する人もいるわけです。
裁判では、2013年に死亡した被相続人が、生前に行った孫(長男の子)との養子縁組について争われています。
被相続人の長女と次女が無効だと訴えているわけですが、相続税が少し減ったからいいじゃないか、とはならなかったようです。まぁ親族内のいろいろな事情もあるのでしょう。
一審と二審の判断
一審の東京家裁は、被相続人が養子縁組届を作成していることに着目して有効と判断しました。
しかし、二審の東京高裁は「税理士が勧めた相続税対策にすぎず、男性は孫との間に真実の親子関係を創設する意思はなかった」として無効と判断しました。
で、最高裁の判決を待つわけです。
相続対策は税金だけで判断してはいけない
この裁判から何を感じるでしょうか?
故人は子や孫のために相続税を少しでも減らして財産を残したかったのでしょう。そのための相続税対策だったはずですが、結果的には親族間で裁判という結果になってしまいました。これは故人の期待したところではないはずです。
相続対策=相続税を減らすこと、ではないということですね。
相続対策には3つのポイントがあると言われています。
①遺産分割対策
②節税対策
③納税資金対策
やはり一番重要なのは「遺産分割」対策で、相続人の理解を得られないまま節税対策を行ってもトラブルの原因になる場合もあります。
税金のみで判断するのは慎重に。